ウイスキーの製造工程
大麦が琥珀色のウイスキーに変わるまでの5つのステップ。ポットスチルの形、樽の選択、日本の四季がもたらす熟成の妙。
製麦(モルティング)
大麦を水に浸けて発芽させ、デンプンを糖に変える酵素を生み出します。その後、熱風やピート(泥炭)の煙で乾燥。ピートを使うとスモーキーな風味が付きます。日本ではほとんどの蒸留所が海外産の製麦済みモルトを使いますが、余市はピーティングを自社で行っています。
糖化(マッシング)
粉砕したモルトを温水と混ぜ、酵素の力でデンプンを糖に分解します。得られた甘い液体が「麦汁(ウォート)」。仕込み水の質がウイスキーの味わいに直結するため、山崎の名水、白州の南アルプスの天然水、余市の余市川の伏流水など、各蒸留所が水にこだわります。
発酵(ファーメンテーション)
麦汁に酵母を加え、木桶やステンレスの発酵槽でアルコール発酵。2〜4日間で度数7〜9%の「ウォッシュ(醪)」ができます。日本の蒸留所は木桶発酵を好む傾向があり、木に棲む乳酸菌が複雑な風味を生み出します。
蒸留(ディスティレーション)
ポットスチル(単式蒸留器)で通常2回蒸留します。初留で約20度、再留で約70度のニューポット(新酒)を得ます。ポットスチルの形状(背の高さ、ネックの角度、ラインアームの形)が酒質を決定づけます。日本独自の特徴は、1つの蒸留所に異なる形状のスチルを複数設置すること。山崎には16基のポットスチルがあり、多様な原酒を造り分けています。
熟成(マチュレーション)
オーク樽に詰めて熟成。日本の法律上の最低熟成期間はありませんが、一般的に最低3年は熟成させます。使用する樽の種類が風味を大きく左右します。
バーボン樽はバニラやキャラメルの甘さ、シェリー樽はドライフルーツやスパイス、ミズナラ樽は白檀や伽羅のオリエンタルな香りを付与します。日本の四季のある気候は温度差が大きく、スコットランドより熟成が早く進みます(エンジェルズシェアは年2〜4%)。